皆様にお知らせがございます。
私は,弁護士法人心に入所以来,東京駅法律事務所に勤務しておりました。
ですがこの度,事務所内での人事異動があり,この11月末より,東京・池袋にある池袋駅法律事務所にて執務することとなりました。
おかげさまで,池袋駅事務所にも多くのご相談が寄せられていること,また,東京駅事務所も事務所の成長に伴うスタッフの増員により手狭になってきたことが理由です。
急な人事異動ではありますが,前向きな理由の転勤は励みになりますね。
執務場所は変わりますが,今後ともよろしくお願いいたします。
さて,この「転勤」ですが,労働法上はどのような規制があるかご存知でしょうか。
転勤といっても本人希望のものや会社都合のものがあり,また,昇格人事の場合やいわゆる「左遷」というべきケースもあります。
実は,労働基準法上は,転勤を含む人事異動についての明確な規定は設けられておりません。
ただし,労働者と会社の間には個別の労働契約があります。
その契約の解釈上,その労働者が異動を予定された社員であるかどうかで判断します。
これは,個別のケースごとに判断するほかありません。
支店展開をしている会社で,その労働者が総合職として採用されている場合などは,会社命令で転勤させることは有効であると判断される傾向にあります。
一方で,有期契約で店舗の現場スタッフとして採用されているケースなどでは,転勤を命じる権利が及ばないと判断される可能性があります。
もちろん,個別の労働契約で職種や勤務エリアが指定されている場合は,その範囲を超える人事異動は無効となります。
また,労働者が転勤によって被る不利益が大きすぎる場合や,転勤が不当な目的でなされた場合は,形式的に転勤を命じる権利が会社にあっても,不必要・不相当な転勤であるとして転勤命令は無効になることがあります。
たとえば,
・結婚したばかりで新居を設けたばかりの社員に,新居から通えなくなるような支店への転勤を命じること
・問題社員が自ら退職を申し出てくれるよう,労働環境が良くない支店や部署に異動させること
これらは,無効と判断される可能性があります。
会社が大きくなってくると,人事異動が必要な場面も増えてきます。
転勤を命じることができるかどうかは,社員との間の契約内容や就業規則の内容次第で大きく変わってくるので,前もってきちんとした形で定めておく必要があります。
会社が成長し業務拡大している場面でこそ,足元を見直すことは非常に大事でしょう。
雇用契約や就業規則は,弁護士に相談してみるのもおすすめです。