債務整理したいが住宅ローンの残っている自宅には変わらず住み続けたいという方にお勧めの手続のひとつに、個人再生という手続があります。
裁判所の認可を受けて借金の総額を圧縮しつつ、住宅ローンだけは「住宅資金特別条項」という制度を使うことで、自宅を残すことが可能です。
ただ、ケースによっては借金の総額の圧縮があまり期待できないケースがあります。
個人再生の場合、借金を圧縮できる金額は、債務者の有している財産の清算価値の金額が下限となります。
たとえば、借金が1000万円ある方が個人再生を利用する場合、本来は最大では200万円まで債務を圧縮できるのですが、もしこの方に500万円の清算価値を有する財産を持っているのであれば、最低でも500万円までは借金をはらわないといけないルールになっています。
この清算価値の問題は、不動産の価値に左右されることが多いです。
たとえば、不動産の価値が1500万円で、住宅ローンが2000万円残っており、ローンの金額が上回っている状態(オーバーローン)のケースだと、清算価値は0円になります。この場合は問題ありません。
一方で、不動産の価値は同じく1500万円だが、長年ローンを返済し続けており、住宅ローンの残りは1000万円まで減っていたというケースだと、清算価値は1500万円-1000万円=500万円という計算になります。
また、近年だと地価の上昇により不動産の価値が上がっており、いつの間にかローンの残額を上回っていたというケースもあります。
千葉県内でも、地域にもよりますが昨年比で10%近く地価が上がっているエリアもあるようです。
そういったケースだと、持ち家の不動産価格の上昇は本来うれしいことではあるのですが、個人再生の関係だと不利になってしまうことがあるので注意が必要です。