障害年金における「社会的治癒」とは


障害年金の申請を考えている方の中には、過去に病気を発症して通院していたがいつのまにか通院しなくなり、しばらく経ってからまた症状が悪化して通院を再開したという人が少なからずいらっしゃいます。



障害年金の場合、初めて病院に通ったのがいつなのか(初診日)が大事になりますが、この場合、初診日はいつになるでしょうか。



最初に通院した日でしょうか。それとも通院を再開した日でしょうか。



原則としては、医学的な因果関係があるならばそれは一連一体の病気であり、最初の通院が初診日となります。



しかしながら、医学的には一連一体の病気(=医学的には治癒していない)であっても、一定の条件下においては、一度社会的に治癒したものと扱い、両者を別々の病気として扱う場合があります。



これを社会的治癒といいます。



社会的治癒が認められる条件は、明確に定まっているわけではありませんが、



・長期間治療行為(通院や服薬など)を行っていないこと



・通院の空白期間中、社会復帰(就労など)を果たしていること



などの事情を踏まえて総合的に判断するとされています。



どの程度の期間通院をしていなければ社会的治癒に該当するのかは、傷病の性質などに応じてケースバイケースになります。



また、単に経済的理由であったりとか病院が嫌いで通院していないようなケースですと、社会的治癒は認められません。



この社会的治癒が認められると、通院を再開した時が初診日となります。



そのため、たとえば最初の通院を初診日とされてしまうと納付要件を満たさず申請できないケースとか、もしくは昔過ぎて記録が残っておらず初診の証明が不可能であるようなケースで、初回的治癒を主張することで救済されることがあります。



一方、社会的治癒の判断は最終的には日本年金機構側で行うため、こちらが望んでいないのに社会的治癒であると判断されることもあるので注意が必要です。



その場合、たとえば通院再開が最近でまだ1年6か月を経過していないから申請を見合わせないといけなくなるなどの不都合が生じることもあります。



社会的治癒の可否は専門的な判断が必要になりますので、過去に通院の空白期間があるような方は障害年金に詳しい弁護士の相談してみてはいかがでしょうか。

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