弁護士の伊藤です。
今回は障害年金の併合認定について,少しお話したいと思います。
すでに障害を抱えている場合に,別の障害も発症してしまうというケースがあります。
たとえば,うつ病が発症している状態で事故に遭い,片腕が動かせなくなってしまった場合(一上肢の用を全廃したもの)などです。
この場合,2つの障害がそれぞれ2級相当であったとしても,2級の障害年金が2つ支給されるわけではありません(支給金額が2倍になるわけではありません)。
もっとも,複数の障害をかかえている場合,日常生活や仕事への影響は,障害が一つだけの場合と比べて大きいことが通常です。
そこで,複数の障害が認められる場合は,障害の内容にもよりますが併合認定を行うことで,より上位の等級が認められることがあります。
上述のケースだと,うつ病の2級と,一上肢の用を全廃したものの2級とが併合認定され,1級の等級が認められます。
この場合,2級の認定と比べて,障害年金の支給額も増えることとなります。
併合認定は,
・複数の障害について,まとめて障害年金の初回申請するケース,
・すでに障害年金を支給中に,後発の障害についても追加で申請して上位の等級を目指すケース,
・前発の障害で一度障害基礎年金を申請していたが支給に至らなかったケースで,後発の障害が加わることで初めて支給の対象となる可能性があるケース
など,いくつかパターンが考えられます。
ケースによって,申請の方法や注意すべき点が変わってくることがあります。
また,複数の障害が認められれば,すべてのケースで自動的に上位の等級に繰り上がるわけではありません。
障害の内容や程度にもよってくるところなどで注意が必要です。
併合認定の基準は以下の厚生労働省のホームページにガイドラインが公開されています。
複数のケガや病気の症状で日常生活や仕事に支障がある方は,併合認定によりより高い等級の認定を受けられる可能性があります。
すでに一度障害年金の認定を受けており,等級が変わることはないと思って申請していない方や,過去に不支給決定がされて,障害年金の申請をあきらめてしまっている方も少なくないようです。
自分や家族が該当するかもしれないと思った方は,障害年金に精通する弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。