障害年金は、原則として初診日から1年6か月後(「認定日」といいます。)に支給申請することができるようになります。
もっとも、障害年金の制度をそもそも知らなかったり、その当時は体調が悪くて身動きが取れないなど、障害認定日にすぐ申請できないことが少なくありません。
私が今まで対応してきた障害年金のご相談も、初診から1年6か月以上経ってから申請したいというケースが半分以上という印象です。
このようなケースでも、遡及請求という方法を使えば、過去にさかのぼって年金を請求するよう請求することができます。
遡及請求が認められれば、最大で過去5年間の障害年金をまとめて支給することができます。
一度に300万円以上支給されることも多くあります。
ただし、遡及請求を行う上でハードルになるのが、初診から1年6か月後時点の診断書を入手することです。
当時通院した病院にカルテ等の記録が残っていれば、その記録に基づいて書いてもらえる可能性があります。
しかし、カルテの保管期間は法律で5年間とされており、時間が経ちすぎているとカルテが破棄されてしまっているおそれがあります。
また、カルテが残っていても、その記載が必ずしも完璧とは限りません。
障害年金は専用の診断書を書いてもらう必要があり、記載事項は多岐にわたります。
医師としては、治療に必要な範囲でカルテを残すのであって、障害年金の診断書を書くために記録を残すのではありません。
そのため、診断書に必要な記載が漏れており、このような場合には医師としては「記録にない事項は書けない」と断れてしまうおそれがあります。
また、遡及請求の制度上の問題点として、あくまで認定日時点の症状で判断するので、認定日時点だとまだ症状は軽かったが、その後に悪化したようなケースでは、遡及請求は認められません。
遡及請求は過去の資料が必須であり、手続き自体も難しいため、弁護士等の専門家のサポートがないとなかなかうまく進められないケースが少なくありません。
長い間障害に苦しんでいるという方は、悩まず早めに弁護士に相談することをおすすめします。