最近、芸能人の自殺のニュースに触れる機会がありました。
警視庁発表の統計では、令和3年度の自殺者数は2万1007人とされ、減少傾向にはありますが、多くの人が自ら命を絶っています。
相続の場面では、故人が自殺したため、生命保険金を受け取れるのかどうかが問題になる場合があります。
また、弁護士として借金のご相談を受けるときに、「家族にこれ以上迷惑をかけられないから、いっそ死んで生命保険金で借金を返してもらおうと思うことがある」と打ち明けられることも何度かありました。
保険法51条1項は被保険者が自殺をしたときは、保険金を支払う責任を負わないとされています。
ただし、実際には、生命保険会社は上記法律の定めとは異なる独自の支払基準を設けていることがほとんどです。
保険会社は、以下のような場合には、生命保険金を支払わないと定めていることが多いようです。
① 自殺が保険金を受け取ることを主目的としている場合
たとえば、借金の返済するために自殺をして保険金を得ようと考えている場合です。
生命保険は、偶発的な事故や病気での死亡に備えることを目的としており、保険金を受け取るための意図的な自殺はその趣旨に反するからです。
② 免責期間が満了していない場合
一般的には生命保険を契約してから1年~3年程度の免責期間が設定されており、この期間中に自殺してしまった場合は、保険金を受け取ることができません。
生命保険を契約してから間もなくの自殺は、保険金目的であることが疑われるためとされています。
ただし、上記①②に該当する場合でも、うつ病などの精神障害を患っていて、正常の判断ができない状態で自殺してしまった場合には、例外的に保険金が支払われる場合があります。
その場合には、精神科や心療内科の通院記録などの証拠が求められることがあります。
もっとも、仮に生命保険が下りるとしても、残された遺族の方の悲しみは、保険から受け取れるお金では計り知れないものと思います。
思い悩んでしまったら、その悩みは自殺以外の方法で解決できないのか、まずは国や自治体でも、弁護士や医者でもいいので相談してほしいです。