今年の1月20日に令和2年度の司法試験の合格発表が行われました。
例年ですと、5月に試験が行われ、9月に最終合格発表があるのですが、今年は新型コロナウイルスの影響で試験の実施が8月にずれ込み、最終合格発表も1月までずれ込むこととなりました。
令和2年度の合格者数は1450人で、合格者数を1500人前後を目安とする、近年の国の方針におおむね沿う結果となりました。
一方、受験者数は減少し、令和2年度は3703人にとどまったため、合格率は39.16%と、受験者の3人に1人以上が合格するまでとなっています。
現行の試験方式に統一されて以降、受験者数のピークは平成23年の8765人でした。それと比べると半減以上ということになります。
このような数字を見ると、職業としての弁護士人気にも翳りが見えているのは否めないかもしれません。
合格率が一桁だった時代と比べると、最近の合格率だけ見れば難関試験合格というステータスが昔ほど感じられないという声があるようです。
また、弁護士の人数が増えた結果、過当競争になり平均所得が減少しているのは確かです。
そのわりに、試験で求められる知識レベル(難易度)は相応に高いので、合格まで数年かかる(もしくは数年かけても受からないこともある)弁護士という職業は、就職先としてはコストパフォーマンスの悪い職業だというシビアな意見もあるようです。
もっとも、今般司法試験にチャレンジされる方々は、そういった外聞も承知で弁護士を目指しているのでありましょうから、むしろ高い志を持った方々であろうと思います。
思い返せば、私が司法試験に合格した時期もすでに過渡期に差し掛かっており、「弁護士になって大金稼いで肩で風を切って歩きたい」という理由で弁護士になった人は、私含めて同期にはいなかったなあという記憶があります。
毎年合格発表の時期になると、自分が合格した時をはからずも思い返してしまいます。
弁護士になったばかりの初心を忘れずに、今後も誠実に弁護士業に取り組んでいきたいですね。