交通事故を起こしてしまった場合、加害者には,①民事上の責任、②行政上の責任、③刑事上の責任を負うこととなります。
1 民事上の責任
車の修理代、代車代やレッカー費用といった物的損害、ケガの治療費や休業損害、慰謝料などの人的損害など、相手が被った損害を賠償する責任をいいます。
前もって運転手が任意で損害賠償保険に加入していれば、多くの場合ですべての損害を保険で賄うことができます。
万が一任意保険に加入していない場合でも、強制加入の自賠責保険により、人的損害については120万円まで賄うことができます。
しかし、自賠責保険では物的損害はカバーできないため、修理代が高額になる場合でも自分で賠償しなければなりません。
また、大きな事故では人的損害が120万円を超えることも少なくありませんが、超えた場合は自己負担になります。
2 行政上の責任
免許の減点や、悪質な事故態様の場合は免許の停止、取消などの処分を受ける可能性があります。
行政上の処分は、人身事故として届け出が出された場合に処分が行われる可能性がありますが、物損事故扱いにとどまっている場合は、行政上の処分を受けずに済みます。
3 刑事上の責任
典型的なものとしては、交通事故により被害者を怪我させてしまった場合の自動車運転過失致死傷罪などが考えられます。
昨今では自動車事故に対しては厳罰化の傾向があり、上記の自動車運転過失致死傷罪は、懲役7年以下または罰金100万円以下と非常に重い内容となっています。
行政上の処分と同様、物損事故扱いにとどまる場合は、刑事上の処分は回避できます。
最近では、こういった刑事上の責任に関して、弁護士に刑事弁護を依頼する場合や、被害者との交渉を代行してもらう場合の費用を負担してもらう保険も、一部の保険会社から発売されています。
事故は起こさないことが一番ですが、注意して運転していたつもりでも起きてしまうのが事故でもあります。
万が一の場合に備えて、自動車保険にはしっかりと加入しておきましょう。