1 自賠責保険の支払基準の変更
自賠責保険は、自動車を運転する場合に必ず加入する必要がある、強制加入の保険です。
交通事故に遭った場合、被害者は、この自賠責保険から、一定の支払基準に従って、慰謝料や休業補償などを受けることができます。
この自賠責保険の支払基準が、2020年4月1日から改正される予定です。
改正の理由は、2010年に行われた前回改定から10年が経ち、平均余命,物価・賃金水準,支払実態を反映する必要が生じたためです。
2 変更内容
支払基準の変更点は以下のとおりです。
①入通院慰謝料
1日4200円→4300円
②休業損害
1日5700円→6100円
③入通院中の看護料
1日4100円→4200円
④自宅看護料・通院看護料
1日2050円→2100円
また、後遺障害慰謝料の金額も13,14級を除いて増額となっています。
別表第1(要介護の場合)
第1級 1,600万円→1,650万円
(被扶養者がいる場合は1,800万円→1,850万円)
第2級 1,163万円→1,203万円
(被扶養者がいる場合は1,333万円→1,373万円)
別表第2
第1級 1,100万円→1,150万円
(被扶養者がいる場合は1,300万円→1,350万円)
第2級 958万円→998万円
(被扶養者がいる場合は1,128万円→1,168万円)
第3級 829万円→861万円
(被扶養者がいる場合は973万円→1,005万円)
第4級 712万円→737万円
第5級 599万円→618万円
第6級 498万円→512万円
第7級 409万円→419万円
第8級 324万円→331万円
第9級 245万円→249万円
第10級 187万円→190万円
第11級 135万円→136万円
第12級 93万円→94万円
支払基準が上方修正されたことで、手厚い保護を受けることが可能になりました。
ただし、自賠責保険には支払の上限額があり、傷害部分については120万円、後遺障害部分については等級に応じて金額が定められています。
今回の改正では上限額の変更はないので、大きな事故の場合は結局上限額に引っかかってしまい、賠償額が変わらないことがあります。
また、増額になったものの、弁護士基準(裁判所基準)と比べると、自賠責保険の支払基準は低額となっています。
そのため、保険会社が自賠責保険の基準で示談金を提案してくる場合は、弁護士が交渉すればさらに増額になる可能性がありますので、是非一度相談してみてはいかがでしょうか。