弁護士法人心 柏法律事務所に所属しております,弁護士の伊藤と申します。
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借金の消滅時効その2
前回のブログでは消滅時効についてお話しさせていただきました。
その際に民法改正により時効完成までの期間は原則5年となったと紹介しましたが、これにはいくつかの例外があります。今回はその例外ルールについて少し紹介したいと思います。
もっとも多いと思われるのが裁判を起こされ判決が確定している場合で、民法169条に規定があります。
民法第169条
1.確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。
この場合、一度判決が確定してしまうと、そこからさらに10年経たないと時効は主張できないということになります。
仮に裁判の時点ですでに時効の期間が過ぎていたとしても、有効な反論をせずに判決が出てしまうと問答無用で借金は有効になってしまいます。
一方、あくまで「確定判決」が出てしまうと10年延長になるので、裁判を起こされたタイミングで判決が出る前に適切に対応すれば、まだ時効の援用が間に合う可能性があります。
また、裁判まではいかない段階、たとえば債権者からの督促のハガキが時効の関係で意味を持つことがあります。
民法150条には、時効完成の猶予期間について規定があります。
民法第150条
1.催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
2.催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。
ここにいう「催告」の代表例が、債権者から送られてくる督促のハガキなどになります。
たとえば、時効の5年経過直前の4年11カ月のタイミングで催告のハガキが届くと、時効完成は6か月猶予され、5年5カ月経過しないと完成しないということになります。
そのため、5年経過を待ってすぐに債権者に時効を主張したら、実は督促のハガキが最近届いていてまだ時効は完成していなかったということがありえます。
この催告による猶予は、何度も繰り返して時効の完成を防ぐことはできないようになっています。たとえば、上記のケースでさらに5年4カ月の時点でまた催告のハガキが届いたとしても、また時効の完成が6カ月延長されるということにはなりません。
時効のルールは案外複雑だったりするので、迷ったらまず弁護士に相談いただくのが最も安全かと思います。